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2005/09/02

日本語は生まれた

●中国語から韓国語が、韓国語から日本語が派生
何千年にも及ぶ数知れぬ戦いと文化統合を繰り返して来た中国に比べ、地理的にも辺境の地であった朝鮮半島は、それらの争いに巻き込まれる事なく、独自の変遷を続けてきた。
朝鮮半島には中国語とは逆の語順の辺境の「話し言葉」があったが(中国語はSVOだが、SOVの語順)、そこに中国からの高度な漢字文明が流入してきた。生活にも貧しい人々は中国語圏との交流も限られていた事から、表意文字である漢字だけの文章の世界を文化として維持する事が「能力的に」難しく、使っている話し言葉を核として、漢字を採り入れ、「話し言葉」として変遷して来たのが、表音文字である今の朝鮮語(韓国語)である。
この漢字文化が日本にもたらされたのは応神(おうじん)天皇の16年=4世紀後期〜5世紀初め、朝鮮半島から渡ってきた渡来人(とらいじん)を中心に漢文が使われ、短期間のうちに日本の知識人たちにも広がっていったのである。

※中国で漢字ができたのは今から3000年前。中国の黄河の中流域に殷(いん)という国があり、殷の人たちは、亀の甲羅(こうら)などに文字を刻んで占いに使っていたのが最初の漢字。
※朝鮮半島に漢字が伝わったのは、BC2世紀の古朝鮮時代の頃、中国の漢の武帝(ぶてい)が朝鮮半島に楽浪(らくろう)など4郡を置いた頃(BC108年)から、中国の漢字文化が広がっていった。

●朝鮮半島・中国との密接な交流
古墳とその副葬品を見ると、韓国の慶州にある天馬塚の出土品は、九州の江田船山古墳の出土品とそっくりである。冠、烏帽子、耳飾、まがたま等のデザインは同じで、韓国側は金製品、日本側は銀製品となっている。広隆寺の弥勒菩薩は半伽像であり木造である。これと同形式の金銅製の像が韓国にある。広隆寺弥勒菩薩像も法隆寺の釈迦三尊像も百済人によるものである。奈良(なら)という発音が韓国語の nara 国という意味からきたという説は韓国では常識である。

奈良時代に朝鮮半島から仏教文化がそのまま伝わった。高句麗の高僧慧慈に仏教の教えを受けた聖徳太子(574-622)は、仏教を国の教えとして、また文化全般の発展のために導入した。
経文を読み、写経し、文字を習う。寺院建設の建築や工芸の技術や瓦を焼いたり、仏像を鋳造する技術、絵の具や筆の製法や織物技術など、仏教一つを導入する事は、当時の我が国にとって、それまでの生活を一変するほどの大きな効用があった。
初めに朝鮮から入ってきた仏教は、遣隋使とともに留学僧として中国に渡った多くの僧が帰国して中国仏教を直接輸入するようになり、また中国からも聖武太上天皇や孝謙天皇など多くの僧俗に対し戒を授けた鑑真和上(687-763)などのすぐれた僧が来朝し、もたらされた膨大な経典によって、日本の仏教の基礎が急速に整えられていった。

●漢字が日本人の感性で大変身
朝鮮半島(韓半島)から更に海を隔てた辺境のまた飛び地とも言うべき日本列島は、常に文化の終着駅であり、到来した文化はそこで何者にも邪魔される事なく極めてユニークな変遷を遂げて来た。
日本人の神経・感覚の細やかさ、静寂の中に調和と動きを感じ取る鋭敏な感覚は、恵まれた自然と、美しい四季の移り変わりと言った地理的自然が持つ多彩な描写・演出力の下で育まれ、それに呼応するかの様に、日本語の表現方法も漢字の読みの自由な多岐化への道を歩んだのではないかと考えられる。
朝鮮語(韓国語)では、一つの漢字に対する読み(発音)は、たったひとつしか存在しない。ところが、日本語では音読み・訓読みなど、ひとつの漢字が何通りもの発音を持っている。漢字に支配されることはなく、発音が表わしたい意味を持つ漢字に割り当てられたのである。中国語が日本に来て、初めて漢字言語の発想の呪縛から逃れた辺りに、日本文化の独自性が現れている。
 
※音読みとは中国語の発音に起源を持つもの漢字の読み方。「字音(じおん)」ともいい、その母体となった時代・地域などの違いから、漢音(「行」のコウ)・呉音(「行」のギョウ)・唐音(唐宋音ともいい、「行」のアン)に分けるのが一般的で、音読みの多くは、この漢音。「餃子(ぎょうざ)」や「北京(ぺきん)」は、近現代の中国語の発音に基づく読み方。
※訓読みとは「字訓(じくん)」ともいい、中国語で「大」や「修」が表している意味内容を、「おおきい」「おさめる」と読み、日本語に置き換えたところから発生。訓読みは一種の翻訳である。漢和辞典では「訓読み」ということばはあまり使わず「字義」「意味」などという呼び方をするのが一般的。

●カタカナ・ひらがなの誕生
言葉は最初にそれを発する音があり、文字はそれを表記するために後から作られる。日本民族は漢字渡来以前には日本独自の文字をもっていなかった。文字は使用されず、人々は「かたる」ことによって生活してきた。漢字渡来後、漢字と漢文を「かたる」言葉の特性に合わせてつくり替えたのである。

・漢字で日本語を書き表す試みは中国から始まる。中国ではサンスクリット語の固有名詞を書くのに漢字の意味を捨てて、音のみを使う表記法を用いていた。その方法は漢字で日本語を表す場合にも使われ、その始まりを3世紀の「魏志倭人伝」の「卑弥呼=ひみこ」や「耶馬台=やまと」などの表記に見ることができる。

・その方法はさらに改良され、それまで固有名詞に限られていたものが、万葉集では全面的に使われるようになった。「万葉仮名」と呼ばれ、漢字の意味を無視し、耳から聞こえる「音」に合わせて漢字を当てはめ、書き綴った仮名である。仮名は現在の「ひらがな」、「カタカナ」発生以前のもので、漢字を使い、偕書で書かれていた。当時、「真名」と呼ばれていた漢字を使うことから「真仮名」とも呼ばれ、万葉仮名は「おとこで」と呼ばれた。このようにして仮名が生まれ、漢字仮名交じり文が誕生したのである。
※楷書とは漢字の書体の1つで、現在、私たちが手書きするとき、一般に用いている崩していない書体のこと。紀元3世紀ごろ(後漢の末)に、隷書の形を整備して、全体が正方形で、筆画が真っ直ぐな書体が工夫されるようになった。

・奈良時代8世紀に、吉備真備(きびのまきび)等が仏典などの漢文の訓読用に万葉仮名の一部を利用していた符号(点など)を統一して、漢字の一部から「カタカナ」を作った。「カタカナ」は漢字で「片仮名」と書く。この「片(かた)」は「伊→イ」「宇→ウ」のように漢字の片方(かたほう 一部分)という意味。「カナ」は「仮(かり)の名前」という意味で、本当の文字はつまり「漢字」のこと。

・そして8世紀後半の平安時代の頃に、和歌の隆盛や書道の発展に伴い、より早く書くために必然的に草書的に書き崩され「草がな」と呼ばれるものになった。そしてさらにくずされ「おんなで」が誕生する。これが現在の「ひらがな 平仮名」の原形である。「安→あ」「宇→う」。明治33年の小学校令施行規則で現在のひらがな・カタカナの一音一字が定められ、現在に至っている。

参考:
ひらがなの字源
カタカナの字源
ひらがな・カタカナのいろいろ学

●ハングル文字の誕生 (ハングルとは「大いなる文字」という意味)
ハングル文字は15世紀中頃(1446年=室町時代)に朝鮮李朝の第四代世宗(せじょん)大王が、朝鮮半島の文盲の多さを問題視し、複雑な漢字ではなく、もっと世の民に広く受け入られる簡単な文字が必要だと考え、学者たちに命じ考案・制定した文字。朝鮮半島は漢字の伝来は日本よりもはるかに古いが、朝鮮固有の文字であるハングルが作り出されたのは15世紀になってから。1700年もの間、朝鮮固有の文字はなかったことになる。
文字は非常にロジカルに作られていて幾つかのパーツ(○とか−とか□とか)を組み合わせて基本文字を作り、その基本文字の論理的な組み合わせで全ての朝鮮語(当時)の発音をカバーできるハングル文字と言う表音文字が出来上がっている。 
将棋版のような升目の表を作り一番左の縦の列に上から下に順番に10の母音のパーツを書き、一番上の行に左から右に19の子音の基本文字を並べると、あとは縦横の交わる升に、2つのパーツと基本文字を合体させたものを書けば良い。そうして出来た190の文字がハングル文字の基本形となり、190の文字の発音はそのマスの子音+母音で出来ているので、10の母音と19の子音の発音を覚えてしまえば、ハングル文字はすべて音読できるようになっている。

日本史年表概略

●細かいニュアンスを表現できる日本語
動詞の活用の仕方によって、世界の言語は3つタイプに分類できる。膠着語・屈折語 ・孤立語で、日本語は膠着語に属する。
膠着語は語幹に接辞(助詞や助動詞)が膠(にかわ)のように 幾つも付加されて、一つの単語ができる。例えば 「食べ疲れました」=「食べる」の連用形「食べ」+「疲れる」の連用形「疲れ」+「ます」の連用形「まし」+完了を表す助動詞「た」 の4つの意味をもつ最小単位(「形要素」と呼ぶ)が集まった単語である。これより、1つの単語で、複雑で細かな表現が出来るようになる。又、途中で二重否定や三重否定したり、後に「か」を付ければ疑問形にしたりすることができるので、最後まで話を聞かないと理解できない言葉でもあるが、語順に縛られる屈折語・孤立語に比べ、遙かに融通のきく言語である。
たとえば、「昨日小泉は横須賀で映画を見た」という文は「見た」という部分を除いて、他の要素の順序を「昨日映画を小泉は横須賀で見た」のように自由に変えることができる「自由語順言語、自由表現言語」である。

(参考) 英語が苦手な4つのバリアー
・言葉から学問に変遷
親のまねをして、小さな子供が泣いて、笑って意思交換している。話す・聞く本来の言葉の働きを第一に訓練せず、読み・書き受験の学問にしてしまった。言葉は移り変わるもの、それを静態にした功罪も大きい。
・指向パターンが合わない語順の違い
「英語で考え英語を話す」のがネイティブだが、はじめは日本語を英語に組み替えることになる。しかし、日本語と英語の語順に違いがあるため、頭で浮かんだ日本語がそのまますんなりと英語にならない。英会話が達者な人は、語順のパターンや多くの英語例が身に付いているので、すばやく英語が出てきて、更に話し慣れてくると、「英語から英語への転換」が可能になり、「英語で発想する」世界になる。
※韓国語は語順が同じなので、単語を覚えれば、容易に会話ができる。
・日本語にない子音の発音
日本語の単語は<雨−ame, ミルク−miruku, 川−kawa>と必ず母音で終わるが、英語は<book, star, meal>と子音で終わる単語が多く、t, d, s, z, b, p, f, v, sh, th などの発音も日本語にはない。子音の発音のコツがつかめると、リスニングは楽になり、不思議に単語を覚えるのも楽になる。
・聞きとりにくい英語の発音
日本人は言葉の大部分を左脳で処理し、英語圏の人は主に発音は右脳、意味や文法は左脳で処理すると言われている(左脳、右脳の両脳使用言語)。先程の子音の発音の違いと共に、リズム的な英語発音は右脳で処理する音であるが、左脳で聞く機能変化で、英語音は耳に入って来ず、発音が文法や意味に伝わらないことになる。日本人は両脳使用言語に弱いのである。但し、女性は両脳の連絡が太いので、男より有利な状況にある。
※参考:
英語と日本語の発声の違いを言えば、日本語は胸式発声で英語は腹式発声。
胸式発声はボソボソと話し、声は小さい。腹式発声は<息を吐く力で話す>感じで、声は大きく、低く響くように聞こえる。
参考:
・http://www.mafnet.jp/myway/mmbacknumber/n000012-040830.html
・http://www.taishukan.co.jp/kanji/kanji_yogo.html
・http://www.blu.m-net.ne.jp/~tashima/b24.html
・http://www.geocities.jp/zen9you/pada/roots7.htm
・http://www3.ocn.ne.jp/~x484kok8/tutikumo21.html
・http://www.mafnet.jp/myway/mmbacknumber/n000006-040719.html
・http://www.eigono.com/hokan00.htm

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